大和物語
また、同じ御門1)、斎院の皇女2)の御もとに、菊に付けて、
ゆきて見ぬ人のためにと思はずは誰か折らましわが宿(やど)の菊
斎院の御返事、
わが宿に色をりとむる君なくばよそにもきくの花を見ましや
又おなしみかと斎院の御この御もとに きくにつけて ゆきてみぬひとのためにとおもはす はたれかをらまし我やとのきく さい院の御返事 我やとにいろをりとむるきみなくは よそにもきくの花をみましや/d25l