かくて、よなよなたたずめども、「今はひまもあるまじきに、思ひ放ちてよ」と言へば、まことに人の目のしげさ、ことわりなれど、「またなぐさむばかりの情けをも、などかけざらむ」と恨めしくて、
もろともに心は通へ蘆垣(あしがき)のさこそひまなき住まひなりとも
かくてよなよなたたすめとも いまはひまもあるましき におもひはなちてよといへは まことに人のめのしけさ ことはりなれとまたなく さむはかりのなさけをも/s29l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/29?ln=ja
なとかけさらむとうらめ しくて もろともにこころはかよへあしかきの さこそひまなきすまひなりとも/s30r