にはかに思ひ出でられて、あさましきまで覚ゆれば、とりもあへず、ものにも乗らで1)、徒歩(かち)より行きたれば、例の逢はぬものゆゑ、帰るさのいと苦しきに、「かかる有様こそさすがに覚えね」と、われながら思ひ知られて、
たどりつつ分くる袂(たもと)にかけてけり行きもならはぬ道芝(みちしば)の露
にはかにおもひいてられて/s27l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/27?ln=ja
あさましきまておほゆれは とりもあへすものにも のしてかちよりゆきたれは れいのあはぬものゆへかへる さのいとくるしきにかかるあ りさまこそさすかにおほえ ねとわれなから思しられて たとりつつわくるたもとにかけてけり ゆきもならはぬみちしはのつゆ/s28r