あながちに歎くを、いとほしとや思ひけむ、「しかるべきにこそあらめ。立ちながら言はむ。そこにて待て」と言ひしかば、いといと嬉しくて、待ちゐたりしかど、有明の月も入りがたになりて、夜も明けにしかば、泣く泣く帰るとて、
待ちかねて明くればともにかかりけり涙は袖に月は山べに
あなかちになけくを/s24l
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いとおしとやおもひけむ しかるへきにこそあらめた ちなからいはむそこにてまて といひしかはいといとうれしくて まちゐたりしかとありあけ のつきもいりかたになりて よもあけにしかはなくなくか へるとて まちかねてあくれはともにかかりけり なみたはそてにつきは山へに/s25r