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醒睡笑 巻8 かすり

18 一寺の崇敬世に越えていつくしき喝食ありつるが・・・

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一寺の崇敬(そうぎやう)世に越えていつくしき喝食ありつるが、思ひも寄らぬ病(やまふ)にさそはれ、夕べの煙(けぶり)となれり。

かの骨を東堂、わが前に置き、衆中(しうちう)の僧に向かひ、「寒夜に焼き残す一束の柴」と いふ句を出だせり。つひに大衆(だいしゆ)の語出でず。時に東堂、「このは1)ばかり残つたよ」。

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翻刻

一 一寺の崇敬世に越ていつくしき喝食あり
  つるかおもひもよらぬやまふにさそはれ夕の煙
  となれりかの骨を東堂我か前に置衆中
  の僧にむかひ寒夜に焼残す一束の柴と
  いふ句をいたせり終に大衆の語不出時に
  東堂この葉はかり残つたよ/n8-40l
1)
木の葉・この歯