醒睡笑 巻8 頓作
大陰嚢(おほへのこ)を持ちたる人あり。珍しきさまに沙汰しければ、見たきことに思ふ者多かりき。
ある時、客いたり、「連々承り候ふ」と所望し、「これは常に人の申したるほどはなし」と言ひければ、「さうであらうず。『聞いては千金よりも重く、見ては一毛よりも軽(かろ)し』と候ふ」。
一 大陰嚢(おほへのこ)をもちたる人ありめつらしきさまに 沙汰しけれは見度事におもふ者おおかりき 或時客いたり連々承(うけまり)候と所望し是は/n8-8r
常に人の申たるほどはなしといひけれは 左右てあらふす聞いては千金よりもをもく 見ては一毛よりもかろしと候/n8-8l