醒睡笑 巻6 うそつき
両の手にて輪をなし、一尺ばかりのまはりなる真似をし、「これほど大きなる栗を見た」と言ふ。そばから、「まつと減らせ、減らせ」と言へば、ひたもの小さくしけるが、あげくに、「そのやうに小さうせば、いがで手を突かうものを」と申しけり。
長からん角豆(ささげ)の花は短くて短き栗の花の長さよ
一 両の手にてわをなし一尺ばかりのまはりな るまねをしこれほど大なる栗を見たといふそば からまつとへらせへらせといへはひた物ちいさくし けるがあけくにそのやうにちいさうせばいかで/n6-62r
手をつかふ物をと申けり 長からん角豆のはなは短くて みしかき栗の花のなかさよ/n6-62l