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醒睡笑 巻6 児の噂

46 山の大坊に猪の子の餅をつく・・・

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1)の大坊に、猪の子の餅をつく。「あまり人多し。児たちは寝ていらるる頭(あたま)に、一つづつ置きて通れ」と、三位2)下知するを、小児(こちご)聞きつけ、そのまま居直り、頭(あたま)を下になし、尻を立ててゐけり。餅配る者、粗忽(そこつ)にさぐり、二つ置て通りぬ。

  食(じき)にせばししにやならん猪の子餅

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翻刻

一 山の大坊に猪の子の餅をつくあまり人お
  ほし児たちはねていらるるあたまに一つつつを
  きてとをれと三位下知するを小児聞つけ
  そのまま居なをりあたまをしたになし尻/n6-22l
  を立てゐけり餅くはる者そこつにさぐり二つ
  置てとをりぬ
   じきにせはししにやならん猪の子餅/n6-23r
1)
比叡山延暦寺
2)
僧の名