醒睡笑 巻5 人はそだち
その身の分によりては恥がはしき人の、ある時亭主、七つ八つなる息子を呼んで、鼻紙を乞ひけるに、かれ庭に行き、藁を一筋取りて来たる。親、「それがいる物か」と目をしければ、「がてん、がてん。『客人鼻紙のことの。それならば納戸(なんど)にある」と。
下主の文づかひや
一 其身の分によりてははちかはしき人のある 時ていしゆ七つ八つなるむすこをよんてはながみ をこひけるにかれ庭にゆきわらを一すぢとり て来る親それがいる物かと目をしけれはが てんがてん客人はながみの事のそれなら はなんどにあると 下主の文づかひや/n5-65r