醒睡笑 巻5 婲心
またいつの春やらん、住吉1)にて、花のもとに顔を包みまはしてゐたる人のもとへ、
よしや君霞の衣覆ふとも匂ひを漏らせ花の顔ばせ
返し
匂ひをもいかで漏さん人知れず身は埋れ木の花し咲かねば
見る人に身をわくる花の匂ひかな 宗祇
待ち惜しむほどや心の花ざかり 同
一 又いつの春やらん住吉にて花のもとに顔をつ つみまはして居たる人のもとへ よしや君霞(かすみ)の衣おほふとも 匂ひをもらせ花のかほばせ 返し 匂ひをもいかて漏さん人しれず 身は埋木の花しさかねは/n5-10l
見る人に身をわくる花の匂ひかな 宗祇 待おしむほとや心の花さかり 同/n5-11r