醒睡笑 巻4 そでない合点
神農(しんのう)といふは、百草を舐め、百度(ももたび)死して、百度活(い)くるとやらん。人はみな医師(くすし)の上手と讃むるが、われはいささかさも思はぬ。ただ下手にすうだと思ふ」。「さて、そちは神農の療治を受けたるか」。「いや、推(すゐ)にも知りやすきことがある。目の上の癭(こぶ)をば、誰も嫌がるものにてあり。ぬしが額にある角をさへ、えのけなんだもの」。
一 神農(しんのう)といふは百草(さう)をなめももたひしして百たひ 活(いくる)とやらん人はみなくすしの上手とほ むるか我はいささかさもおもはぬたた下手に すうたと思ふさてそちは神農の療治(りやうち)をう けたるかいや推にもしりやすき事がある 目の上の癭(こぶ)をは誰もいやかる物にてあり/n4-48l
ぬしが額(ひたい)にある角(つの)をさへえのけなんた物/n4-49r