醒睡笑 巻3 不文字
東寺の並びに遍照心院(へんぜうしんゐん)といふあり。つくり庭をあまり人の見たがるが嫌さに、番衆(ばんしゆ)を置かれたれば、竹杖(たけづゑ)なともちいましむる。望みの方、「そと見たし」とて立ち寄れば、「いやいや庭へ行くまい。殺生禁断ぢやに」と。
一 東寺のならびに遍照心院といふありつくり にはをあまり人の見たがるがいやさに番衆を/n3-26l
をかれたれば竹杖(たけつゑ)なともちいましむる 望のかたそと見度とて立よれはいやいや 庭へ行まひ殺生禁断(せつしやうきんだん)じやにと/n3-27r