醒睡笑 巻3 不文字
風呂をば、いづくにあるも銭湯(せんたう)といふとばかり心得て過ごしけるにや、ある大名の内風呂をたかせて、人々入りけるなかば、「なにと風呂はたつや1)と尋ね給ふ時、件(くだん)の合点者(がてんしや)、「いづれの銭湯へも入り参らせたが、これやうにようたつ銭湯は2)おりない」と。
一 風呂をはいつくにあるもせんたうといふとはかり 心得て過しけるにやある大名の内風呂を たかせて人々入けるなかばなにとふろはしろや と尋給ふ時くだんのがてんしやいつれのせんたう へも入まいらせたかこれやうによふたつせんたうは/n3-20r
かけたれはぎよさつのことくと申けり/n3-20l