醒睡笑 巻2 賢だて
「日本第一の智者」と額(がく)を打ちて諸国行脚の僧あり。小喝食(こかつしき)、かれに向ひ、土の上に一文字を書き、この読みを乞ふ。種々に読む。つひに当たらず。喝食、「土の上に一文字は王にてあり。汝愚」と。
知らぬをば知らぬと言はでみにくさはよく知りたるを忘れたる顔
一 日本第一の智者と額を打て諸国行脚 の僧あり小喝食かれにむかひ土の上に一文 字を書此よみをこふ種々によむ終にあたら す喝食土の上に一文字は王にてあり汝愚と しらぬをは知らぬといはて見にくさは よくしりたるを忘れたるかほ/n2-49r