醒睡笑 巻2 躻(うつけ)
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さしからぬ者、いかがしたりけん、とりはづして井(ゐ)にはまりしことあり。人こぞり梯(はし)など下げ、「早く上がれ」と言ふに、「われは一世の面目を失なうた。上がりても人間(ひとあひ)はなるまい。これからすぐに高野へのぼる」と。
一 さしからぬ者いががしたりけんとりはづして 井にはまりし事あり人こそりはしな とさけはやくあかれといふに我れは一世の 面目をうしなふたあかりても人間はなる まいこれからすぐに高野へのほると/n2-35r