醒睡笑 巻2 躻(うつけ)
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ちと利口になき二十(はたち)余りの惣領(そうりやう)あり。父、かれを誘ひ、外面(とのも)に出でて遊覧(いうらん)す。折節、ころは五月の末、沢辺(さはべ)に真薦(まこも)しげりあひたるを見、「親ぢや人、この粽(ちまき)の木に実は出づるかや」と。
一 ちと利口になき廿あまりの惣領あり父かれ をさそひ外面に出て遊覧す折ふし此は 五月のすゑ沢辺に真薦しけりあひたるを 見親しや人此ちまきの木に実はいつるかやと/n2-28r