醒睡笑 巻1 鈍副子
小姓(こしやう)を置きて、こころみに始めて茶を挽(ひ)かする。ことのほか粗(あら)し。「これは」と叱りたる時、ちと座をしさり、「それは、まづ粗挽きてござる」と。「さてさて、おのれは日本(にほん)にまた二人ともあるまいうつけや」とあれば、またきつと手を突き、「いや、日本も広うござるほどに、お尋ねならば、まだもござらう」と。
一 小姓ををきてこころみに始(はしめ)て茶をひかする 事の外あらし是はとしかりたる時ちと座 をしさりそれはまつあらひきて御座る と扨々おのれは日本に又ふたりともあるまい/n1-46r
うつけやとあれは又きつと手をつきいや 日ほんもひろふ御座るほとにおたつねな らはまたも御座らふと/n1-46l