醒睡笑 巻1 落書
信長公1)、諸大名を寄せ給ひ、馬揃へあそばし、思ひ思ひの出で立ちはなやかなりし風情にて、きらを磨き、あたりを輝かせば、「いにしへもためしまれなること」と沙汰しあへり。すなはち、主上(しゆじやう)2)も簾中(れんちう)より叡覧(えいらん)なされし。
金銀を使ひ捨てたる馬揃へ将棋に似たる王の見物
一 信長公諸大名をよせ給ひ馬そろへあそはし おもひおもひの出立はなやかなりし風情にて きらをみかきあたりをかかやかせばいにしへ もためしまれなる事と沙汰しあへり即 主上(しゆしやう)も簾(れん)中より叡覧なされし 金銀をつかひすてたる馬そろへ 将棋に似たる王の見物/n1-26r