昔、なま心ある女ありけり。男、近うありけり。女、歌詠む人なりければ、「心見ん」とて、菊の花のうつろへるを折りて、男のもとへやる。
紅(くれなゐ)ににほふはいづら白雪の枝もとををに降るかとも見ゆ
男、知らず詠みに詠みける、
紅ににほふがうへの白菊は折りける人の袖(そで)かとも見ゆ
むかしなま心ある女ありけり男ちかう有/s29r
けり女うたよむひとなりけれはこころ みんとてきくの花のうつろへるをお りておとこのもとへやる くれなゐににほふはいつら白雪の えたもとををにふるかとも見ゆ おとこしらすよみによみける 紅ににほふかうへのしら菊は おりける人のそてかともみゆ/s29l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/29?ln=ja
【絵】/s30r