目次

唐物語

からものがたり

成立

平安時代末期に成立したと考えられる、27話からなる翻訳説話集。「桑華書誌」所載の「古蹟歌書目録」により、藤原成範の作という説が有力。

題名は『大和物語』にたいしての『唐物語』だろう。

内容

1話につき1首以上の和歌を持つ、歌物語の形式をとり、同様な形式をもつ蒙求和歌が、説話の内容を和歌にしているのに対し、説話の登場人物が和歌を詠むという形式になっている。

中国人が和歌を詠むという、ある意味シュールな説話集である。

出典は未詳の二話(第9話「張文成」・第27話「雪々」)をのぞき、すべて漢籍に求めることができ、 そのほとんどが『蒙求』(11話)と『白氏文集』(6話)である。

諸本

池田利夫氏によって次の三つに分類されている。

A類

尊経閣文庫本を祖本とするもの。尊経閣文庫本は鎌倉時代末期の筆写と考えられるが、一紙二丁が欠落している。

B類

目録を有し、出典の注記がある。

C類

版本系統。

吉田幸一氏所蔵異本

説話の配列が他の諸本と著しく異なっており、C類に近いが本文も異文が多い。古典文庫560で影印・翻刻。

電子テキスト

参考文献

注釈書

影印