目次

十訓抄

じっきんしょう,じっくんしょう

成立

「建長四年の冬、神無月のなかばのころ・・・」という序文から、建長四年(一二五二)十月なかばの成立と考えられる。

作者は不明だが、諸本に「或人云六波羅二臈左衛門入道作云々」という奥書を持つものがあり、永井義憲氏による湯浅宗業説、乾克己氏・志村有弘氏による菅原為長説、浅見和彦氏による後藤基綱説、石井進氏による佐治左衛門尉重家などの説がある。

内容

鎌倉時代説話集。 三巻からなるが、『十訓抄』の題名が示すように、下の10の教訓に まとめられており、全体の序文跋文のほか、各教訓に一つず つ序文がついている。

【十訓抄 上】
第一 可施人恵事(人に恵を施すべき事)
第二 可離驕慢事(驕慢を離るべき事)
第三 不侮人倫事(人倫を侮らざる事)
第四 可誡人上事(人の上を誡むべき事)
【十訓抄 中】
第五 可撰朋友事(朋友を撰ぶべき事)
第六 可存忠直事(忠直を存ずべき事)
第七 可専思慮事(思慮を専らにすべき事)
【十訓抄 下】
第八 可堪忍于諸事事(諸事を堪忍すべき事)
第九 可停懇望事(懇望を停むべき事)
第十 可庶幾才芸事(才芸を庶幾すべき事)

諸本

永積安明により、次の第1類〜第4類に分けられるとされる。

第1類

平仮名三巻有欠本。第七、十の後半を欠す。

東洋文庫岩崎文庫本・東京大学研究室本などの写本。

第2類

片仮名三巻本。

宮内庁書陵部本・吉田幸一蔵本等。妙覚寺本系統とも呼ばれる。

第3類

1類本の欠を2類本で補っているもの。

宮内庁書陵部本・橋本新吉蔵本、彰考館本

第4類

流布本。近世刊行の版本。

元禄版・享保版・寛延版・文化版・天保版・明治版

電子テキスト

宮内庁書陵部本『十訓抄』

参考文献

【翻刻】

【注釈書】