ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:yomeiuji:uji116

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
最新のリビジョン両方とも次のリビジョン
text:yomeiuji:uji116 [2014/10/07 19:16] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji116 [2019/02/24 16:54] Satoshi Nakagawa
行 6: 行 6:
 **堀川院、明暹に笛吹させ給ふ事** **堀川院、明暹に笛吹させ給ふ事**
  
-これも今は昔、堀川院の御時、奈良の僧どもをめして、大般若の御読経おこなはれけるに、明暹この中にまいる。+===== 校訂本文 =====
  
-主上、御笛あそばけるがやうやうに調子をかへてふかせ給ひけるに、明暹、調子ごとにこゑたがへずあげければ、主上あやしみ給て、この僧をめしければ、明暹、ひざまづきて庭+これも今は昔、堀川院((堀河天皇))の御時、奈良の僧ども大般若((大般若経))の御読経おこなはれけるに、明暹、この参る
  
-仰によりて、のぼりて簀子に候に「笛やく」とはせおはしましければ、「かたのごとくつかまつり候」と申ければ、「さればこそ」とて、御笛たびてかせられけるに、万歳楽をえもいはず吹たりければ、御感ありて頓而その笛をたてけり+その時に、主上、御笛をあそばしけるが、やうやうに調子を変へて吹かせ給ひけるに、明暹、調子ごとに声たがへず上げければ、主上怪しみ給ひて、この僧を召しければ、明暹、ひざまづきて庭に候ふ。によりて、りて簀子(すのこ)に候「笛やく」とはせおはしましければ、「かたのごとくつかまつり候」と申ければ、「さればこそ」とて、御笛たびてかせられけるに、万歳楽(まんざいらく)をえもいはず吹たりければ、御感ありて、やがてその笛を賜びてけり。 
 + 
 +件の笛、伝はりて、今、八幡別当幸清((紀幸清))がもとにありとか。(件笛、幸清進上。当今建保三年也。)((底本カッコ内割注。三行で書かれている。)) 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  これも今は昔堀川院の御時奈良の僧ともをめして大般若の 
 +  御読経おこなはれけるに明暹この中にまいる其時に主上御笛 
 +  をあそはしけるかやうやうに調子をかへてふかせ給ひけるに明暹調 
 +  子ことにこゑたかへすあけけれは主上あやしみ給てこの僧をめし 
 +  けれは明暹ひさまつきて庭に候仰によりてのほりて簀子に 
 +  候に笛やふくととはせおはしましけれはかたのことくつかまつり候と 
 +  申けれはされはこそとて御笛たひてふかせられけるに万歳楽を 
 +  えもいはす吹たりけれは御感ありて頓而その笛をたてけり 
 +  件の笛つたはりていま八幡別当幸清かもとにありとか(件笛幸清進上当今建保三年也)/下23ウy300
  
-件の笛、つたはりていま八幡別当幸清がもとにありとか。(件笛、幸清進上。当今建保三年也。)((カッコ内割注)) 
text/yomeiuji/uji116.txt · 最終更新: 2019/02/24 17:03 by Satoshi Nakagawa