text:yomeiuji:uji106
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text:yomeiuji:uji106 [2014/04/13 16:31] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji106 [2015/05/04 11:19] – [第106話(巻9・第1話)滝口道則、術を習ふ事] Satoshi Nakagawa | ||
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- | ====== 第106話(巻9・第1話) ====== | + | 宇治拾遺物語 |
+ | ====== 第106話(巻9・第1話)滝口道則、術を習ふ事 | ||
**滝口道則習術事** | **滝口道則習術事** | ||
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馬を引へてまてば、ありつるやどにかよひしつる郎等也。「これは何ぞ」ととへば、「此郡司の『まいらせよ』と候ものにて候。かかる物をば、いかですててはおはし候ぞ。かたのごとく御まうけして候へども、御いそぎにこれをさへおとさせ給てけり。されば、ひろいあつめてまいらせ候」といへば、「いで、なにぞ」とて取てみれば、松茸をつつみあつめたるやうにてある物、九あり。あさましくおぼえて、八人の郎等共もあやしみをなしてみるに、まことの九の物あり。 | 馬を引へてまてば、ありつるやどにかよひしつる郎等也。「これは何ぞ」ととへば、「此郡司の『まいらせよ』と候ものにて候。かかる物をば、いかですててはおはし候ぞ。かたのごとく御まうけして候へども、御いそぎにこれをさへおとさせ給てけり。されば、ひろいあつめてまいらせ候」といへば、「いで、なにぞ」とて取てみれば、松茸をつつみあつめたるやうにてある物、九あり。あさましくおぼえて、八人の郎等共もあやしみをなしてみるに、まことの九の物あり。 | ||
- | 一度にさつとうせぬ。さて、使いはやがて馬を馳て帰りぬ。そのおり、我身よりはじめて、郎等共、皆「ありあり」といひけり。 | + | 一度にさつとうせぬ。さて、使はやがて馬を馳て帰りぬ。そのおり、我身よりはじめて、郎等共、皆「ありあり」といひけり。 |
さて、奥州にて金うけ取て帰時、又信濃の有し郡司のもとへゆきてやどりぬ。さて、郡司に、金、馬、鷲羽などおほくとらす。郡司、よによに悦て、「これはいかにおぼして、かくはし給ぞ」といひければ、ちかくよりていふ様、「かたはらいたき申事なれ共、はじめこれにまいりて候し時、あやしき事の候しかば、いかなることにか」といふに、郡司、物をおほくえてありければ、さりがたく思てありのままにいふ。 | さて、奥州にて金うけ取て帰時、又信濃の有し郡司のもとへゆきてやどりぬ。さて、郡司に、金、馬、鷲羽などおほくとらす。郡司、よによに悦て、「これはいかにおぼして、かくはし給ぞ」といひければ、ちかくよりていふ様、「かたはらいたき申事なれ共、はじめこれにまいりて候し時、あやしき事の候しかば、いかなることにか」といふに、郡司、物をおほくえてありければ、さりがたく思てありのままにいふ。 | ||
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御門、此由をきこしめして、黒戸のかたにめして、ならはせ給けり。御几帳のうへより、賀茂祭などわたし給けり。 | 御門、此由をきこしめして、黒戸のかたにめして、ならはせ給けり。御几帳のうへより、賀茂祭などわたし給けり。 | ||
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text/yomeiuji/uji106.txt · 最終更新: 2018/12/10 21:37 by Satoshi Nakagawa