text:yomeiuji:uji046
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text:yomeiuji:uji046 [2014/04/08 20:11] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji046 [2014/04/08 20:26] – Satoshi Nakagawa | ||
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それに、この国の司くだりて、国のさたどもあるに、大宮司われはと思てゐたるを、国司とがめて、「いかに大宮司ならんからに、国にはらまれては見参にもまいらぬぞ」といふに、「さきざきさる事なし」とてゐたりければ、国司むつかりて「国司も国司にこそよれ。我にあひては、かうはいふぞ」とていやみ思て、「しらん所ども点ぜよ」などいふ時に、人ありて大宮司にいふ。「まことにもこくしと申すに、かかる人おはす。見参にまいらせ給へ」といひければ、「さらば」といひて、衣冠にきぬいだして、ともの物ども丗人ばかりぐして、国司のがりむかひぬ。 | それに、この国の司くだりて、国のさたどもあるに、大宮司われはと思てゐたるを、国司とがめて、「いかに大宮司ならんからに、国にはらまれては見参にもまいらぬぞ」といふに、「さきざきさる事なし」とてゐたりければ、国司むつかりて「国司も国司にこそよれ。我にあひては、かうはいふぞ」とていやみ思て、「しらん所ども点ぜよ」などいふ時に、人ありて大宮司にいふ。「まことにもこくしと申すに、かかる人おはす。見参にまいらせ給へ」といひければ、「さらば」といひて、衣冠にきぬいだして、ともの物ども丗人ばかりぐして、国司のがりむかひぬ。 | ||
- | 国司出あひ、対面して、人どもをよびて、「きやつ、たしかにめしこめて勘当せよ。神官といはんからに、国中にはらまれて、いかに奇怪をばいたす」とて、めしたててゆふ程に、こめて勘当す。その時大宮司「心うき事に候。御神はおはしまさぬか。下臈の無礼をいたすだに、立所に罰せさせおはしますに、大宮司をかくせさせて御らんずるは」となくなくくどきて、まどろみたる夢に、あつたの仰らるるやう「此事にをきては、我ちから及ばぬ也。その故は、僧ありき。法花経を千部よみよみて、我に法楽せんとせしに、百餘部はよみたてまつりたりき。国のものども、たうとがりて、この僧に、帰依しあひたりしを、汝むつかりてその僧を追はらひてき。それにこの僧、悪心をおこして、我、この国の守となりて、この答をせん」とて、むまれきて、今、国司になりてければ、我力をよばず。その先生の僧を俊綱といひしに、この国司も俊綱といふなり」と、夢におほせありけり。 | + | 国司出あひ対面して、人どもをよびて、「きやつ、たしかにめしこめて勘当せよ。神官といはんからに、国中にはらまれて、いかに奇怪をばいたす」とて、めしたててゆふ程に、こめて勘当す。その時大宮司「心うき事に候。御神はおはしまさぬか。下臈の無礼をいたすだに、立所に罰せさせおはしますに、大宮司をかくせさせて御らんずるは」となくなくくどきて、まどろみたる夢に、あつたの仰らるるやう、「此事にをきては、我ちから及ばぬ也。その故は、僧ありき。法花経を千部よみよみて、我に法楽せんとせしに、百餘部はよみたてまつりたりき。国のものども、たうとがりてこの僧に帰依しあひたりしを、汝むつかりてその僧を追はらひてき。それにこの僧、悪心をおこして『我、この国の守となりて、この答をせん』とてむまれきて、今、国司になりてければ、我力をよばず。その先生の僧を俊綱といひしに、この国司も俊綱といふなり」と、夢におほせありけり。 |
- | 人の悪心はよしなき事なりと。 | + | |
+ | 人の悪心はよしなき事なりと。 |
text/yomeiuji/uji046.txt · 最終更新: 2018/03/26 15:20 by Satoshi Nakagawa