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text:yomeiuji:uji042 [2014/09/28 13:41] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji042 [2017/12/12 01:34] – [第42話(巻3・第10話)同人、仏事の事] Satoshi Nakagawa
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 **同人、仏事の事** **同人、仏事の事**
  
-いまむかし、伯のはは、仏くやうしけり。やうえん((永縁と傍書))僧正をしやうじて、さまざまの物どもをたてまつる中に、むらさきうすやうにつつみたる物ありけり。けてれば+、伯の母((神祇伯康資王の母))、仏供養しけり。永縁(やうえん)((底本、「やうえん」に「永縁歟」と傍書。傍書に従う。))僧正をじて、さまざまの物どもをる中に、紫の薄様みたる物ありけり。けてれば
  
-朽にけるながらの橋のはしばしら法のためにもわたしつるかな+  にける長柄(ながら)の橋の橋柱(はしばしら)(のり)のためにもしつるかな
  
-ながらはしれなりけり。+長柄れなりけり。
  
-の日、まだつとめて、若狭あざりこくゑんといふ人哥よみなるひとたり。「あはれ、このことをきたるよ」と僧正おぼすに、ふところよりみやうぶをでてたてまつる。+またの日、まだつとめて、若狭阿闍梨こくゑん(([[text:kohon:kohon021|『古本説話集』21]]によると、隆源。))といふ人、歌詠みなるたり。「あはれ、このことをきたるよ」と僧正すに、懐(ふところ)より名簿(みやうぶ)でて、奉る。
  
-「この橋のれ、はらん」と申。僧正、「かばかりの希重の物はいかでか」とて、「なにしにかとらせ給はんくちおしとて帰にけり+「この橋のれ、はらん」と申。僧正、「かばかりの希重の物はいかでか」とて、「何しにか、取らせ給はん。口惜し」とて、帰りにけり。 
 + 
 +すきずきしく、あはれなることどもなり。 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  いまはむかし伯のはは仏くやうしけりやうえん(永縁歟)僧正をしやうしてさまさま 
 +  の物ともをたてまつる中にむらさきのうすやうにつつみたる物ありけりあけ 
 +  てみれは 
 +    朽にけるなからの橋のはしはしら法のためにもわたしつるかな 
 +  なからのはしのきれなりけり又の日またつとめて若狭あさりこくゑん 
 +  といふ人哥よみなるひとかきたりあはれこのことをききたるよと僧正おほすに 
 +  ふところよりみやうふをひきいててたてまつるこの橋のきれ給はらんと申/49オy101 
 + 
 +  僧正かはかりの希重の物はいかてかとてなにしにかとらせ給はんくち 
 +  おしとて帰にけりすきすきしくあはれなる事ともなり/49ウy102
  
-すきずきしくあはれなる事どもなり。 
text/yomeiuji/uji042.txt · 最終更新: 2017/12/21 00:07 by Satoshi Nakagawa