text:yomeiuji:uji042
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text:yomeiuji:uji042 [2014/09/28 13:41] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji042 [2017/12/12 01:23] – Satoshi Nakagawa | ||
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行 6: | 行 6: | ||
**同人、仏事の事** | **同人、仏事の事** | ||
- | いまはむかし、伯のはは、仏くやうしけり。やうえん((永縁カと傍書))僧正をしやうじて、さまざまの物どもをたてまつる中に、むらさきにうすやうにつつみたる物ありけり。あけてみれば | + | 今は昔、伯の母((神祇伯康資王の母))、仏供養しけり。永縁(やうえん)((底本、「やうえん」に「永縁歟」と傍書。傍書に従う。))僧正を請じて、さまざまの物どもを奉る中に、紫の薄様に包みたる物ありけり。開けて見れば、 |
- | 朽にけるながらの橋のはしばしら法のためにもわたしつるかな | + | 朽ちにける長柄(ながら)の橋の橋柱(はしばしら)法(のり)のためにも渡しつるかな |
- | ながらのはしのきれなりけり。 | + | 長柄の橋の切れなりけり。 |
- | 又の日、まだつとめて、若狭あざりこくゑんといふ人に、哥よみなるひとがきたり。「あはれ、このことをききたるよ」と僧正おぼすに、ふところよりみやうぶをひきいでてたてまつる。 | + | またの日、まだつとめて、若狭阿闍梨こくゑんといふ人、歌詠みなる人が来たり。「あはれ、このことを聞きたるよ」と僧正思すに、懐(ふところ)より名簿(みやうぶ)を引き出でて、奉る。 |
- | 「この橋のきれ、給はらん」と申。僧正、「かばかりの希重の物はいかでか」とて、「なにしにかとらせ給はん。くちおし」とて、帰にけり。 | + | 「この橋の切れ、賜はらん」と申す。僧正、「かばかりの希重の物は、いかでか」とて、「何しにか、取らせ給はん。口惜し」とて、帰りにけり。 |
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+ | すきずきしく、あはれなることどもなり。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | いまはむかし伯のはは仏くやうしけりやうえん(永縁歟)僧正をしやうしてさまさま | ||
+ | の物ともをたてまつる中にむらさきのうすやうにつつみたる物ありけりあけ | ||
+ | てみれは | ||
+ | 朽にけるなからの橋のはしはしら法のためにもわたしつるかな | ||
+ | なからのはしのきれなりけり又の日またつとめて若狭あさりこくゑん | ||
+ | といふ人哥よみなるひとかきたりあはれこのことをききたるよと僧正おほすに | ||
+ | ふところよりみやうふをひきいててたてまつるこの橋のきれ給はらんと申/49オy101 | ||
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+ | 僧正かはかりの希重の物はいかてかとてなにしにかとらせ給はんくち | ||
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- | すきずきしくあはれなる事どもなり。 |
text/yomeiuji/uji042.txt · 最終更新: 2017/12/21 00:07 by Satoshi Nakagawa