text:yomeiuji:uji036
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text:yomeiuji:uji036 [2014/09/28 01:47] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji036 [2015/02/03 13:47] – [第36話(巻3・第4話) 山伏舟を祈返へす事] Satoshi Nakagawa | ||
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猶行過る時に、けいたう房、袈裟と念珠とをとり合て汀ちかくあゆみよりて、「護法取返せ。めしかへさずは、ながく三宝に別たてまつらん」とさけびて、この袈裟を、海になげ入んとす。それをみて、此つどひゐたる物ども、色をうしなひてたてり。 | 猶行過る時に、けいたう房、袈裟と念珠とをとり合て汀ちかくあゆみよりて、「護法取返せ。めしかへさずは、ながく三宝に別たてまつらん」とさけびて、この袈裟を、海になげ入んとす。それをみて、此つどひゐたる物ども、色をうしなひてたてり。 | ||
- | かくいふ程に、一町の内によりきたり。その時、けいたう房「さて、今はうちかへせうちかへせ」とさけぶ。その時につどひてみる物ども、一こゑに、「むさうの申やうかな。ゆゆしき罪に候。さておはしませさておはしませ」といふ時、けいたう房、今すこしけしきかはりて「はや打返給へ」とさけぶ時に、この渡舟に廿余人のわたるもの、づぶりとなげ返しぬ。 | + | かくいふほどに、風もふかぬに、この川舟のこなたへよりく。それを見て、けいたう房、「よるめるは、よるめるは。はやう出おはせ、出おはせ」と、すはなちをして、みる者色をたかへたり。 |
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+ | かくいふ程に、一町の内によりきたり。その時、けいたう房「さて、今はうちかへせ、うちかへせ」とさけぶ。その時につどひてみる物ども、一こゑに、「むさうの申やうかな。ゆゆしき罪に候。さて、おはしませ、おはしませ」といふ時、けいたう房、今すこしけしきかはりて「はや打返給へ」とさけぶ時に、この渡舟に廿余人のわたるもの、づぶりとなげ返しぬ。 | ||
その時けいたう房、あせををしのごひて「あな、いたのやつ原や。まだしらぬか」といひて、立帰にけり。 | その時けいたう房、あせををしのごひて「あな、いたのやつ原や。まだしらぬか」といひて、立帰にけり。 | ||
世のすゑなれども、三宝おはしましけりとなむ。 | 世のすゑなれども、三宝おはしましけりとなむ。 | ||
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text/yomeiuji/uji036.txt · 最終更新: 2017/12/21 00:04 by Satoshi Nakagawa