text:yomeiuji:uji022
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text:yomeiuji:uji022 [2014/09/27 18:07] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji022 [2016/05/22 12:29] – [第22話(巻2・第4話)金峰山薄打の事] Satoshi Nakagawa | ||
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おろして見れば、きらきらとして誠の金なりければ、ふしぎの事也。「此金をとるは、神なり地振雨ふりなどしてすこしもえとらんなるに、これはさる事もなし。此のちもこの金をとりて、世中をすぐべし」とうれしくてはかりにかけてみれば、十八両ぞありける。 | おろして見れば、きらきらとして誠の金なりければ、ふしぎの事也。「此金をとるは、神なり地振雨ふりなどしてすこしもえとらんなるに、これはさる事もなし。此のちもこの金をとりて、世中をすぐべし」とうれしくてはかりにかけてみれば、十八両ぞありける。 | ||
- | これをはくにうつに、七八千枚にうちつ。これをまろげて「みなかはん人もがな」と思てしばらく持たる程に、検非違使なる人の「東寺の仏造らん」とて薄をおほく買んといふとつくる物ありけり。悦てふところにさし入て行ぬ。 | + | これをはくにうつに、七八千枚にうちつ。これをまろげて「みなかはん人もがな」と思てしばらく持たる程に、検非違使なる人の「『東寺の仏造らん』とて、薄をおほく買んといふ」と、つぐる物ありけり。悦てふところにさし入て行ぬ。 |
「薄やめす」といひければ「いくら斗持たるぞ」と、問ければ、「七八千枚ばかり候」と、いひければ「持てまひりたるか」と、いへば「候」とて、懐より紙につつみたるを取出したり。みれば、やれず、ひろく、色いみじかりければ「ひろげてかぞえん」とて、みれば、ちいさき文字にて「金御嶽、金御嶽」とことごとくかかれたり。心もえで「此かきつけはなにのれうの書付ぞ」ととへば、薄打「書付も候はず。何のれうのかきつけかは候はん」といへば「げんにあり。これをみよ」とてみするに、薄打みればまことにあり。「あさましき事哉」と思て口もえあかず。検非違使「これはただ事にあらず。やうあるべし」とて、友をよびぐして、金をばかどのおさにもたせて、薄うちぐして大理のもとへまひりぬ。 | 「薄やめす」といひければ「いくら斗持たるぞ」と、問ければ、「七八千枚ばかり候」と、いひければ「持てまひりたるか」と、いへば「候」とて、懐より紙につつみたるを取出したり。みれば、やれず、ひろく、色いみじかりければ「ひろげてかぞえん」とて、みれば、ちいさき文字にて「金御嶽、金御嶽」とことごとくかかれたり。心もえで「此かきつけはなにのれうの書付ぞ」ととへば、薄打「書付も候はず。何のれうのかきつけかは候はん」といへば「げんにあり。これをみよ」とてみするに、薄打みればまことにあり。「あさましき事哉」と思て口もえあかず。検非違使「これはただ事にあらず。やうあるべし」とて、友をよびぐして、金をばかどのおさにもたせて、薄うちぐして大理のもとへまひりぬ。 |
text/yomeiuji/uji022.txt · 最終更新: 2017/12/20 23:57 by Satoshi Nakagawa