text:yomeiuji:uji014
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text:yomeiuji:uji014 [2017/10/23 15:28] – [第14話(巻1・第14話)小藤太、聟におどされたる事] Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji014 [2017/10/23 15:38] – [第14話(巻1・第14話)小藤太、聟におどされたる事] Satoshi Nakagawa | ||
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春雨、いつとなく降りて、帰るべきやうもなくて、臥したりけるに、この舅(しうと)の小藤太、「この聟の君、つれづれにておはすらん」とて、肴、折敷(をしき)にすゑて持て、いま片手に、提(ひさげ)に酒を入れて「縁より入らんは、人、見つべし」と思ひて、奥の方より、さりげなくて持(も)て行くに、この聟の君は、衣(きぬ)を引きかづきて、のけざまに臥したりけり。 | 春雨、いつとなく降りて、帰るべきやうもなくて、臥したりけるに、この舅(しうと)の小藤太、「この聟の君、つれづれにておはすらん」とて、肴、折敷(をしき)にすゑて持て、いま片手に、提(ひさげ)に酒を入れて「縁より入らんは、人、見つべし」と思ひて、奥の方より、さりげなくて持(も)て行くに、この聟の君は、衣(きぬ)を引きかづきて、のけざまに臥したりけり。 | ||
- | 「この女房の、とくおりよかし」と、つれづれに思ひて臥したりけるほどに、奥の方より、遣戸を開けければ、疑ひなく「この女房の上よりおるるぞ」と思ひて、衣をば顔にかづきながら、あの物をかき出だして、腹をそらして、けしけしと起しければ、小藤太、おびえて、なけされかへりけるほどに、肴も打散らし、酒もさながらうちこぼして、大ひげをささげて、のけざまに伏して倒れたり。頭(かしら)を荒う打ちて、まくれ入りて臥せりけりとか。 | + | 「この女房の、とくおりよかし」と、つれづれに思ひて臥したりけるほどに、奥の方より、遣戸を開けければ、疑ひなく「この女房の上よりおるるぞ」と思ひて、衣をば顔にかづきながら、あの物をかき出だして、腹をそらして、けしけしと起こしければ、小藤太、おびえて、なけされかへりけるほどに、肴も打散らし、酒もさながらうちこぼして、大ひげをささげて、のけざまに伏して倒れたり。頭(かしら)を荒う打ちて、まくれ入りて臥せりけりとか。 |
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text/yomeiuji/uji014.txt · 最終更新: 2017/12/20 23:54 by Satoshi Nakagawa