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text:yomeiuji:uji004 [2014/09/27 17:15] Satoshi Nakagawatext:yomeiuji:uji004 [2017/12/20 23:45] (現在) – [第4話(巻1・第4話)伴大納言の事] Satoshi Nakagawa
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 **伴大納言の事** **伴大納言の事**
  
-これも今は昔、伴大納言善男は佐渡国郡司が従者也。+===== 校訂本文 =====
  
-彼国にて善男夢にるやう「西大寺と東大寺とをまたぎて立たり」とて、妻の女にこのよしをかたる。めのいはくそのまたこそさかれんらめあはするに善男おろきてよしなき事を語てけるかなおそれ思てしうの郡司家へ行むかふ所に郡司きはめたる相人也けるが、日来はさもせぬに事の外に饗応してわらうとりいで、むかひてめしのせければ、善男あやしみをなして我をすかしのせて妻のいひつるやうにまたなさかんるやらんと恐思ほ郡司いはくやむとなき高相の夢みてけりそれによしなき人にかたりてけりかなら大位にはいたるとも事いきて罪をからんぞ」といふ+これも今は昔、伴大納言善男((伴善男))は佐渡国郡司が従者なり。 
 + 
 +国にて善男夢にるやう「西大寺と東大寺とを、跨ぎて立たり」とて、妻(め)の女にこのよしを語る。妻のいはく、「そこの股こそ裂れんずらめ」と合はするに、善男、驚きて、「よしなきことを語りてけるかな」と恐れ思ひて、主(しう)の郡司が家へ行き向ふ所に、郡司、極めたる相人なりけるが、日ごろはさもせぬに、ことのほかに饗応して、円座(わらうだ)取り出で、迎ひて召しのぼせければ、善男、怪しみをなして、「われをすかしのぼせて、妻の言ひつるやうに、股など裂かんずるやらん」と恐れ思ふほどに、郡司がいはく、「なんぢ、やむごとなき高相の夢見てけりそれに、よしなき人に語りてけり。かならず大位には至るとも、こと出で来て、罪をかぶらんぞ」と言ふ。 
 + 
 +しかるあひだ、善男、縁につきて、京上りして、大納言に至る。されども、なほ、罪をかぶる。郡司が言葉にたがはず。 
 + 
 +===== 翻刻 ===== 
 + 
 +  これも今は昔伴大納言善男は佐渡国郡司か従者也彼 
 +  国にて善男夢にみるやう西大寺と東大寺とをまたきて 
 +  立たりとみて妻の女にこのよしをかたるめのいはくそのまたこそさかれん/9オy21 
 + 
 +  すらめとあはするに善男おろきてよしなき事を語てける 
 +  かなとおそれ思てしうの郡司家へ行むかふ所に郡司きはめ 
 +  たる相人也ける日来はさもせぬに事の外に饗応してわら 
 +  とりいむかひてめしのせけれ善男あやしみをなして 
 +  我をすかしのせて妻のいひつるやうにまたなさかんるやらんと 
 +  恐思ほに郡司いはく汝やむとなき高相の夢みてけりそれに 
 +  よしなき人にかたりてけりかなら大位にはいたるとも事 
 +  きて罪をからんといふ然あひた善男縁につきて京上して 
 +  大納言にいたるされとも猶罪をかふる郡司かことはにたかはす/9ウy22
  
-然あひだ、善男縁につきて京上して大納言にいたる。されども、猶罪をかぶる。郡司がことばにたがはず。 
text/yomeiuji/uji004.txt · 最終更新: 2017/12/20 23:45 by Satoshi Nakagawa