text:yomeiuji:uji004
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text:yomeiuji:uji004 [2014/04/07 17:27] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji004 [2017/12/20 23:45] (現在) – [第4話(巻1・第4話)伴大納言の事] Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 宇治拾遺物語 | ||
====== 第4話(巻1・第4話)伴大納言の事 ====== | ====== 第4話(巻1・第4話)伴大納言の事 ====== | ||
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**伴大納言の事** | **伴大納言の事** | ||
- | これも今は昔、伴大納言善男は佐渡国郡司が従者也。 | + | ===== 校訂本文 ===== |
- | 彼国にて善男夢にみるやう「西大寺と東大寺とをまたぎて立たり」とみて、妻の女にこのよしをかたる。めのいはく「そのまたこそさかれんずらめ」と、あはするに、善男おどろきて「よしなき事を語てけるかな」と、おそれ思て、しうの郡司が家へ行むかふ所に、郡司きはめたる相人也けるが、日来はさもせぬに、事の外に饗応して、わらうだとりいで、むかひてめしのぼせければ、善男あやしみをなして「我をすかしのぼせて、妻のいひつるやうにまたなどさかんずるやらん」と恐思ほどに、郡司がいはく「汝、やむごとなき高相の夢みてけり。それによしなき人にかたりてけり。かならず大位にはいたるとも、事いできて罪をかぶらんぞ」といふ。 | + | これも今は昔、伴大納言善男((伴善男))は佐渡国郡司が従者なり。 |
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+ | 彼の国にて、善男、夢に見るやう、「西大寺と東大寺とを、跨ぎて立ちたり」と見て、妻(め)の女に、このよしを語る。妻のいはく、「そこの股こそ裂かれんずらめ」と合はするに、善男、驚きて、「よしなきことを語りてけるかな」と恐れ思ひて、主(しう)の郡司が家へ行き向ふ所に、郡司、極めたる相人なりけるが、日ごろはさもせぬに、ことのほかに饗応して、円座(わらうだ)取り出で、迎ひて召しのぼせければ、善男、怪しみをなして、「われをすかしのぼせて、妻の言ひつるやうに、股など裂かんずるやらん」と恐れ思ふほどに、郡司がいはく、「なんぢ、やむごとなき高相の夢見てけり。それに、よしなき人に語りてけり。かならず大位には至るとも、こと出で来て、罪をかぶらんぞ」と言ふ。 | ||
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+ | しかるあひだ、善男、縁につきて、京上りして、大納言に至る。されども、なほ、罪をかぶる。郡司が言葉にたがはず。 | ||
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+ | ===== 翻刻 ===== | ||
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+ | これも今は昔伴大納言善男は佐渡国郡司か従者也彼 | ||
+ | 国にて善男夢にみるやう西大寺と東大寺とをまたきて | ||
+ | 立たりとみて妻の女にこのよしをかたるめのいはくそこのまたこそさかれん/9オy21 | ||
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+ | すらめとあはするに善男おとろきてよしなき事を語てける | ||
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+ | 大納言にいたるされとも猶罪をかふる郡司かことはにたかはす/9ウy22 | ||
- | 然あひだ、善男縁につきて京上して大納言にいたる。されども、猶罪をかぶる。郡司がことばにたがはず。 |
text/yomeiuji/uji004.txt · 最終更新: 2017/12/20 23:45 by Satoshi Nakagawa