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text:yamato:u_yamato124
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text:yamato:u_yamato124 [2017/08/30 18:30] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +大和物語
 +====== 第124段 本院の北の方のまだ帥大納言の妻にていまそかりける折に・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +本院の北の方の((在原棟梁の娘。ここでは藤原時平の妻の意。))、まだ帥大納言((藤原国経))の妻(め)にていまそかりける折に、平中((平貞文))、詠みて聞こえける。
 +
 +  春の野にみどりにはえるさねかづらわが君ざねと頼むいかにぞ
 +
 +と言へりけり。かく言ひ言ひて、あひ契ることありけり。
 +
 +そののち、左の大臣(おとど)((藤原時平))の北の方にて、ののしり給ひける時、詠みておこせたりける。
 +
 +  行く末の宿世も知らぬわが昔契りしことは思ほゆや君
 +
 +となん言へりける。その返し、それよりも前々も、歌はいと多かりけれど、え聞かず。
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  従五位上筑前守棟梁左衛門佐国経権中納言敦忠母
 +  本院のきたのかたのまた帥大納言のめにて
 +  いまそかりけるをりに平中よみてきこえける/d16l
 +
 +    春の野にみとりにはえるさねか
 +    つら我きみさねとたのむいかにそ
 +  といへりけりかくいひいひてあひちきる
 +  ことありけりそののち左のおとと
 +  のきたのかたにてののしりたまひける
 +  ときよみておこせたりける
 +    ゆくすえのすくせもしらぬわかむ
 +    かしちきりしことはおもほゆや君
 +  となんいへりけるそのかへし
 +  それよりもまへまへもうたはいとおほか
 +  りけれとえきかす/d17r
  
text/yamato/u_yamato124.txt · 最終更新: 2017/08/30 18:30 by Satoshi Nakagawa