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text:yamato:u_yamato040
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text:yamato:u_yamato040 [2017/06/17 22:26] (現在) – 作成 Satoshi Nakagawa
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 +大和物語
 +====== 第40段 桂の皇女に故式部卿宮住み給ひける時・・・ ======
 +
 +===== 校訂本文 =====
 +
 +桂の皇女((宇多天皇皇女孚子内親王))に、故式部卿宮((宇多天皇皇子敦慶親王))住み給ひける時、その宮にさぶらひけるうなゐなむ、この((「この」、底本「こ」なし。諸本により補う。))男宮を、「いとめでたし」と思ひかけ奉りたりけれるをも、え知り給はざりけり。
 +
 +蛍の飛びありきけるを、「かれ捕へて」と、この童(わらは)にのたまはせければ、汗衫(かざみ)の袖に蛍を捕へて、包みて御覧ぜさすとて、聞こえさせける。
 +
 +  つつめども隠れぬものは夏虫の身より余れる思ひなりけり
 +
 +===== 翻刻 =====
 +
 +  かつらの御こに故式部卿宮すみ給ける
 +  ときそのみやにさふらひけるうなひ
 +  なむの男宮をいとめてたしとおも
 +  ひかけたてまつりたりけれるをもえ
 +  しり給はさりけりほたるのとひあ
 +  りきけるをかれとらへてとこのわらはに
 +  のたまはせけれはかさみの袖にほたる
 +  をとらへてつつみてこらむせさすとてき
 +  こえさせける/d21l
 +
 +  つつめともかくれぬものはなつむし
 +  の身よりあまれるおもひなりけり/d22r
  
text/yamato/u_yamato040.txt · 最終更新: 2017/06/17 22:26 by Satoshi Nakagawa