text:senjusho:m_senjusho03-04
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text:senjusho:m_senjusho03-04 [2016/05/28 18:55] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:senjusho:m_senjusho03-04 [2016/05/28 18:56] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 昔、観釈聖とて、世をのがれる人侍る。なま君達にて、殿上の交はりなんし給ひて、遠江守になりなんどして侍りけるが、いかなることか侍りけん、にはかに家を出て、髻(もとどり)切りて、頭陀((づだ)をなんし侍りける。 | + | 昔、観釈聖とて、世をのがれる人侍る。なま君達にて、殿上の交はりなんし給ひて、遠江守になりなんどして侍りけるが、いかなることか侍りけん、にはかに家を出て、髻(もとどり)切りて、頭陀(づだ)をなんし侍りける。 |
もとより、御子はいませざりければ、知る所などをば、さながら北の方に譲り給ひて、出でられにしのちには、またもかの家へはさし入り給はずとかや。ただ、人の家に入り来て、四方山(よもやま)のそぞろごと、昔今の物語りをして、日を送るわざにて、はかばかしく勤めなんどもなかりける人にて、面白き物語をなんし給ひければ、大臣家などにつねは召されて、なにとなく世をなん過ぎられにけり。着物は何をも嫌はず着給ひける。足も手も、洗ひもあげずいまそかりけり。 | もとより、御子はいませざりければ、知る所などをば、さながら北の方に譲り給ひて、出でられにしのちには、またもかの家へはさし入り給はずとかや。ただ、人の家に入り来て、四方山(よもやま)のそぞろごと、昔今の物語りをして、日を送るわざにて、はかばかしく勤めなんどもなかりける人にて、面白き物語をなんし給ひければ、大臣家などにつねは召されて、なにとなく世をなん過ぎられにけり。着物は何をも嫌はず着給ひける。足も手も、洗ひもあげずいまそかりけり。 |
text/senjusho/m_senjusho03-04.txt · 最終更新: 2016/08/04 22:42 by Satoshi Nakagawa