text:kohon:kohon050
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text:kohon:kohon050 [2014/08/06 12:19] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | text:kohon:kohon050 [2014/08/06 12:34] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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今は昔、逢坂のあなたに、関寺といふ所に、牛仏現れ給ひて、よろづの人参りて見奉りけり。 | 今は昔、逢坂のあなたに、関寺といふ所に、牛仏現れ給ひて、よろづの人参りて見奉りけり。 | ||
- | 大きなる堂を建てて、弥勒を造り据ゑ奉りける。くれ、えもいはぬ大木ども、ただこの牛一つして運ぶわざをなんしける。繋がねども行き去ることもせず。ささやかに見目もおかしげにて、例の牛の心ざまにも似ざりけり。 | + | 大きなる堂を建てて、弥勒を造り据ゑ奉りける。くれ、えもいはぬ大木ども、ただこの牛一つして運ぶわざをなんしける。繋がねども行き去ることもせず。ささやかに見目もをかしげにて、例の牛の心ざまにも似ざりけり。 |
- | 入道殿をはじめまゐらせて、世の中におはしある人、参らぬはなかりけり。御門、東宮ぞえおはしまさざりける。 | + | 入道殿をはじめ参らせて、世の中におはしある人、参らぬはなかりけり。御門、東宮ぞえおはしまさざりける。 |
- | この牛、悩ましげにおはしければ、「うせ給ひぬべきか」とて、いよいよ参りこむ。聖は御影像を描かせんと急ぎけり。西の京に、いと貴く行なふ聖の夢に見えける。「迦葉、仏道に涅槃のぞむなり。智者、貴く結縁せよ」とぞ見えたりける。いとど人参りけり。歌詠む人もありけり。 | + | この牛、悩ましげにおはしければ、「うせ給ひぬべきか」とて、いよいよ参り来む。聖は御影像を描かせんと急ぎけり。西の京に、いと貴く行ふ聖の夢に見えける。「迦葉、仏道に涅槃のぞむなり。智者、貴く結縁せよ」とぞ見えたりける。いとど人参りけり。歌詠む人もありけり。 |
和泉式部、 | 和泉式部、 |
text/kohon/kohon050.txt · 最終更新: 2016/01/29 14:30 by Satoshi Nakagawa