text:kohon:kohon011
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text:kohon:kohon011 [2014/09/15 21:42] – [第11話 季縄少将の事] Satoshi Nakagawa | text:kohon:kohon011 [2016/01/20 16:06] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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行 8: | 行 8: | ||
===== 校訂本文 ===== | ===== 校訂本文 ===== | ||
- | 今は昔、季縄(すゑなを)の少将といふ人ありけり。 | + | 今は昔、季縄(すゑなを)の少将((藤原季縄))といふ人ありけり。 |
- | 大井に住みけるころ、御門の仰せられける、「花おもしろくなりなば、かならず御覧ぜん」と。仰せられけれど、おぼし忘れて、おはしまさざりければ、少将、 | + | 大井に住みけるころ、御門((醍醐天皇))の仰せられける、「花おもしろくなりなば、かならず御覧ぜん」と。仰せられけれど、思し忘れて、おはしまさざりければ、少将、 |
散りぬれはくやしきものを大井川岸の山吹今さかりなり | 散りぬれはくやしきものを大井川岸の山吹今さかりなり | ||
- | この季縄、病つきて、少しおこたりて、内裏(うち)に参りたりけり。公忠の弁、掃部の助にて、蔵人なりけるころの事なり。「みだり心地、いまだよくもおこたり侍らねども、心もとなくて参り侍りつる。後は知らねど、かくまて侍る事。明後日(あさて)ばかり、又参り侍らん。よき様に申させ給へ」とて、まかり出でぬ。 | + | この季縄、病ひつきて、少しおこたりて、内裏(うち)に参りたりけり。公忠の弁((源公忠))、掃部の助にて、蔵人なりけるころの事なり。「みだり心地、いまだよくもおこたり侍らねども、心もとなくて参り侍りつる。後は知らねど、かくまで侍ること。明後日(あさて)ばかり、また参り侍らん。よき様に申させ給へ」とて、まかり出でぬ。 |
三日ばかりありて、少将がもとより | 三日ばかりありて、少将がもとより | ||
- | くやしくぞ後に会はむとちぎりける今日を限りといはましものを | + | くやしくぞ後に会はむと契りける今日を限りといはましものを |
- | さて、その日失せにけりとぞ。あはれなる事のさまなり。 | + | さて、その日失せにけりとぞ。あはれなることのさまなり。 |
===== 翻刻 ===== | ===== 翻刻 ===== |
text/kohon/kohon011.txt · 最終更新: 2017/08/20 13:30 by Satoshi Nakagawa