text:kohon:kohon003
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text:kohon:kohon003 [2014/05/08 00:00] – [翻刻] Satoshi Nakagawa | text:kohon:kohon003 [2014/05/08 00:08] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 今は昔、あてなる男の、いみじうすきずきしかりけるが、よろずの所の、心細げにあはれなるを見歩きける中に、小さき家のあやしげなるが、さすかに内などしたたかに造りてゐたる人有りけり。 | ||
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+ | 煙も立たず、さびしげなる事限りなし。「いかなる人ぞ」と、あたりの人に問ひければ、「さる尼の候ふが、もの食ふ事も知らず、心細げにて、この年来候ふなり」といふを聞きて、 | ||
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+ | 朝夕に煙も立たぬ壺屋には露の命も何にかくらん | ||
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+ | と言ふを聞きて、この尼 | ||
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+ | 玉光る女(むすめ)籠めたる壺屋には露の命も消えぬなりけり | ||
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+ | と言ふ。 | ||
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+ | あやしくて、よく問ひ聞きければ、めでたく光り輝く女を隠し据ゑたるなりけり。尋ね出だして、人目にして、めでたくてあらせけるとや。 | ||
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text/kohon/kohon003.txt · 最終更新: 2014/09/15 21:38 by Satoshi Nakagawa