text:kara:m_kara012
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text:kara:m_kara012 [2014/11/15 15:22] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:kara:m_kara012 [2020/03/05 15:19] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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===== 校訂本文 ===== | ===== 校訂本文 ===== | ||
- | | + | 昔、男女あひ住みけり。年なども盛りにて、よろづの行く末のことまで浅からず契りつつありふるに、この夫、思ひのほかにはかなくなりにけり。 |
その後、涙に沈みて、あるにもあらず思えけるを、「我も、我も」と懇(ねんご)ろに挑み言ふ人ありけれど、いかにも許さざりけり。 | その後、涙に沈みて、あるにもあらず思えけるを、「我も、我も」と懇(ねんご)ろに挑み言ふ人ありけれど、いかにも許さざりけり。 | ||
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これを聞くにつけても、亡き影をのみ心にかけつつ、時の間も忘るるひまなくて、つひに命を失ひてけり。その屍(かばね)は石になりにける。 | これを聞くにつけても、亡き影をのみ心にかけつつ、時の間も忘るるひまなくて、つひに命を失ひてけり。その屍(かばね)は石になりにける。 | ||
- | ことはりや契りしことの固ければつひには石となりにけるかな | + | ことはりや契りしことの固ければつひには石となりにけるかな |
この石をば、その里の人々、「望夫石」とぞいひける。一筋(ひとすぢ)に思ひ取りけむ心のありけん。有り難さも、この世の人には似ざりけり。 | この石をば、その里の人々、「望夫石」とぞいひける。一筋(ひとすぢ)に思ひ取りけむ心のありけん。有り難さも、この世の人には似ざりけり。 |
text/kara/m_kara012.1416032571.txt.gz · 最終更新: 2014/11/15 15:22 by Satoshi Nakagawa