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text:kara:m_kara001 [2014/11/03 03:54] – 作成 Satoshi Nakagawatext:kara:m_kara001 [2018/03/02 21:39] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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-====== 第1話 王子猷山陰といふ所に住みけり・・・ ======+唐物語 
 +====== 第1話 王子猷山陰といふ所に住みけり・・・ ======
  
 ===== 校訂本文 ===== ===== 校訂本文 =====
  
-昔、王子猷、山陰といふ所に住みけり。世の中のわたらひにほだされずして、ただ春の花・秋の月にのみ心を澄ましつつ、多くの年月を送りけり。+昔、王子猷((王徽之))、山陰といふ所に住みけり。世の中のわたらひにほだされずして、ただ春の花・秋の月にのみ心を澄ましつつ、多くの年月を送りけり。
  
-ことに触れて、情け深き人なりければ、月の光清くすさまじき夜、一人起きゐて、なぐさめがたくや思えけん、高瀬舟に竿差しつつ、心にまかせて戴安道を尋ね行くに、道のほど遥かにて、夜も明け、月も傾(かたぶ)きぬるを、本意(ほい)ならずや思ひけむ、かくとも言はで、門(かど)のもとより立ち帰りけるを、「いかに」と問ふ人ありければ、+ことに触れて、情け深き人なりければ、月の光清くすさまじき夜、一人起きゐて、なぐさめがたくや思えけん、高瀬舟に竿差しつつ、心にまかせて戴安道((戴逵))を尋ね行くに、道のほど遥かにて、夜も明け、月も傾(かたぶ)きぬるを、本意(ほい)ならずや思ひけむ、かくとも言はで、門(かど)のもとより立ち帰りけるを、「いかに」と問ふ人ありければ、
  
-  もろともに月見んとこそ急ぎつれ必ず人に逢はむものか+  もろともに月見んとこそ急ぎつれ必ず人に逢はむものか
  
 とばかり言ひて、つひに帰りぬ。心の数寄(すき)たるほどは、これ((底本「たれ」。諸本により訂正))にて思ひ知るべし。 とばかり言ひて、つひに帰りぬ。心の数寄(すき)たるほどは、これ((底本「たれ」。諸本により訂正))にて思ひ知るべし。
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   人ありけれは   人ありけれは
     もろともにつきみんとこそいそきつれ     もろともにつきみんとこそいそきつれ
-    かならす人にあはむものか+    かならす人にあはむものか
   とはかりいひてつゐにかへりぬ心のすきたる程   とはかりいひてつゐにかへりぬ心のすきたる程
   はたれにておもひしるへし戴安道は剡県(センケン)と   はたれにておもひしるへし戴安道は剡県(センケン)と
text/kara/m_kara001.1414954454.txt.gz · 最終更新: 2014/11/03 03:54 by Satoshi Nakagawa