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text:k_konjaku:k_konjaku31-31 [2015/04/29 14:50] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku31-31 [2015/04/29 14:50] (現在) – [巻31第31話 太刀帯陣売魚嫗語 第卅一] Satoshi Nakagawa
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 今昔、三条の院の天皇の、春宮にて御ましける時に、太刀帯の陣に常に来て、魚売る女有けり。太刀帯共、此れを買せて食ふに、味ひの美かりければ、此れを役と持成して、菜料に好みけり。干たる魚の切々(きれぎれ)なるにてなむ有ける。 今昔、三条の院の天皇の、春宮にて御ましける時に、太刀帯の陣に常に来て、魚売る女有けり。太刀帯共、此れを買せて食ふに、味ひの美かりければ、此れを役と持成して、菜料に好みけり。干たる魚の切々(きれぎれ)なるにてなむ有ける。
  
-而る間、八月許に太刀帯共、小鷹狩に北野に出て遊けるに、此の魚売の女、出来たり。太刀帯共、女の顔を見知たれば、「此奴は野には何態為るにか有らむ」と思て、馳寄て見れば、女、大きやかなる籮(したみ)を持たり。亦、楚(ずはえ)一筋を捧て持たり。+而る間、八月許に太刀帯共、小鷹狩に北野に出て遊けるに、此の魚売の女、出来たり。太刀帯共、女の顔を見知たれば、「此奴は野には何態為るにか有らむ」と思て、馳寄て見れば、女、大きやかなる籮(したみ)を持たり。亦、楚(ずはえ)一筋を捧て持たり。
  
 此の女、太刀帯共を見て、怪く逃目を仕て、只騒ぎに騒ぐ。太刀帯の従者共寄て、「女の持たる籮には何の入たるぞ」と見むと為るに、女、惜むで見せぬを怪がりて、引奪て見れば、蛇を四寸許に切つつ入たり。奇異く思て、「此は何の料ぞ」と問へども、女、更に答ふる事無くて、□□て立てり。 此の女、太刀帯共を見て、怪く逃目を仕て、只騒ぎに騒ぐ。太刀帯の従者共寄て、「女の持たる籮には何の入たるぞ」と見むと為るに、女、惜むで見せぬを怪がりて、引奪て見れば、蛇を四寸許に切つつ入たり。奇異く思て、「此は何の料ぞ」と問へども、女、更に答ふる事無くて、□□て立てり。
text/k_konjaku/k_konjaku31-31.1430286605.txt.gz · 最終更新: 2015/04/29 14:50 by Satoshi Nakagawa