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text:k_konjaku:k_konjaku29-26 [2015/03/17 19:01] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku29-26 [2015/03/17 19:04] (現在) – [巻29第26話 日向守□□殺書生語 第廿六] Satoshi Nakagawa | ||
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今昔、日向の守□□の□□と云ける者有けり。 | 今昔、日向の守□□の□□と云ける者有けり。 | ||
- | 国に有て、任畢にければ、新司を待ける程、国の渡すべき文書共構へ書せける間に、書生の中に、極く弁へ賢くて、手吉く書ける者一人を呼籠て、旧き事をば直しなどして書(かかせ)けるに、此の書生の思ける様、「此れ、『構へたる事共を書せてば、新司にや語りや為むずらむ』と、守は疑はしかるらむかし。気(け)しからぬ心ばへ有ぬれば、定めて悪き事もこそ有れ」と思えければ、「何かで逃なむ」と思ふ心付にけれども、強なる者を四五人付て、夜る昼護せければ、白地(あからさま)に立出づべき様もなかりけり。 | + | 国に有て、任畢にければ、新司を待ける程、国の渡すべき文書共、構へ書せける間に、書生の中に、極く弁へ賢くて、手吉く書ける者一人を呼籠て、旧き事をば直しなどして書(かかせ)けるに、此の書生の思ける様、「此れ、『構へたる事共を書せてば、新司にや語りや為むずらむ』と守は疑はしかるらむかし。気(け)しからぬ心ばへ有ぬれば、定めて悪き事もこそ有れ」と思えければ、「何かで逃なむ」と思ふ心付にけれども、強なる者を四五人付て、夜る昼護せければ、白地(あからさま)に立出づべき様もなかりけり。 |
此く此き居たる間、廿日許にも成にければ、文共皆書き拈(したため)てけり。其の時に、守の云く、「一人して多の文を此く書つる事、糸喜き事也。京に上ぬとも、我を憑て、忘れで有れ」など云て、絹四疋をなむ禄に取せたりける。然れども、書生、禄得る空も無く、心は騒ぎてぞ有ける。 | 此く此き居たる間、廿日許にも成にければ、文共皆書き拈(したため)てけり。其の時に、守の云く、「一人して多の文を此く書つる事、糸喜き事也。京に上ぬとも、我を憑て、忘れで有れ」など云て、絹四疋をなむ禄に取せたりける。然れども、書生、禄得る空も無く、心は騒ぎてぞ有ける。 |
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