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text:k_konjaku:k_konjaku28-29 [2015/02/19 20:27] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku28-29 [2015/02/19 20:28] (現在) – [巻28第29話 中納言紀長谷雄家顕狗語 第廿九] Satoshi Nakagawa
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 今昔、中納言紀の長谷雄と云ふ博士有けり。才賢く、悟広くして、世に並び無く止事無き者には有けれども、陰陽の方をなむ、何(いか)にも知らざりけり。 今昔、中納言紀の長谷雄と云ふ博士有けり。才賢く、悟広くして、世に並び無く止事無き者には有けれども、陰陽の方をなむ、何(いか)にも知らざりけり。
  
-而る間、狗の常に出来て、築垣を越つつ尿をしければ、此れを怪と思て、□□の□□と云ふ陰陽師に此の事の吉凶を問たりければ、「某の月、某の日、家の内に鬼現ずる事有らむとす。但し、人を犯し祟を成すべき者には非ず」と占たりければ、「某の日、物忌為べきななり」と云て止ぬ。+而る間、狗の常に出来て、築垣を越つつ尿をしければ、此れを怪と思て、□□の□□と云ふ陰陽師に此の事の吉凶を問たりければ、「某の月、某の日、家の内に鬼現ずる事有らむとす。但し、人を犯し祟を成すべき者には非ず」と占たりければ、「某の日、物忌為べきななり」と云て止ぬ。
  
 而る間、其の物忌の日に成て、其の事忘れて、物忌も為ざりけり。然て、学生共を集めて、作文して居たりけるに、文頌する盛(さかり)に、傍に物共取置たりける塗籠の有ける内の方に、極て怖し気なる者の音にて吠ければ、居並たる学生共、此の音を聞て、「此れは何の音ぞ。□り」と云つつ、恐ぢ迷(まどひ)ける程に、其の塗籠の戸を少し引開たりけるより、動出る者有り。 而る間、其の物忌の日に成て、其の事忘れて、物忌も為ざりけり。然て、学生共を集めて、作文して居たりけるに、文頌する盛(さかり)に、傍に物共取置たりける塗籠の有ける内の方に、極て怖し気なる者の音にて吠ければ、居並たる学生共、此の音を聞て、「此れは何の音ぞ。□り」と云つつ、恐ぢ迷(まどひ)ける程に、其の塗籠の戸を少し引開たりけるより、動出る者有り。
text/k_konjaku/k_konjaku28-29.1424345258.txt.gz · 最終更新: 2015/02/19 20:27 by Satoshi Nakagawa