text:k_konjaku:k_konjaku27-21
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text:k_konjaku:k_konjaku27-21 [2017/01/06 02:31] – [巻27第21話 美濃国紀遠助値女霊遂死語 第廿一] Satoshi Nakagawa | text:k_konjaku:k_konjaku27-21 [2017/01/06 02:31] (現在) – [巻27第21話 美濃国紀遠助値女霊遂死語 第廿一] Satoshi Nakagawa | ||
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遠助、此の箱を渡して、女の云し事を語れば、女房、箱を受取て云く、「此の箱は、開て見られにけり」と。遠助、「更に然る事候はず」と云へども、女の気色糸悪気にて、「糸悪しくし給ふかな」と云ひて、極て気色悪乍ら、箱をば受取つれば、遠助は家に返ぬ。 | 遠助、此の箱を渡して、女の云し事を語れば、女房、箱を受取て云く、「此の箱は、開て見られにけり」と。遠助、「更に然る事候はず」と云へども、女の気色糸悪気にて、「糸悪しくし給ふかな」と云ひて、極て気色悪乍ら、箱をば受取つれば、遠助は家に返ぬ。 | ||
- | 其の後、遠助、心地不例(つねなら)ずと云て臥しぬ。妻に云く、「然許開くまじと云し箱を、由無く開て見て」とて、程無く死にけり。 | + | 其の後、遠助、心地不例(つねなら)ずと云て臥しぬ。妻に云く、「然許、『開くまじ』と云し箱を、由無く開て見て」とて、程無く死にけり。 |
然れば、人の妻の、嫉妬の心の深く虚(そら)疑ひせむは、夫の為に此く吉からぬ事の有る也。嫉妬の故に、遠助、思懸けず、非分に命をなむ失ひてけり。女の常の習とは云ひ乍ら、此れを聞く人、皆此の妻を悪((「にく」底本異体字。りっしんべんに惡))みけりとなむ語り伝へたるとや。 | 然れば、人の妻の、嫉妬の心の深く虚(そら)疑ひせむは、夫の為に此く吉からぬ事の有る也。嫉妬の故に、遠助、思懸けず、非分に命をなむ失ひてけり。女の常の習とは云ひ乍ら、此れを聞く人、皆此の妻を悪((「にく」底本異体字。りっしんべんに惡))みけりとなむ語り伝へたるとや。 | ||
text/k_konjaku/k_konjaku27-21.1483637463.txt.gz · 最終更新: 2017/01/06 02:31 by Satoshi Nakagawa