ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:k_konjaku:k_konjaku22-4

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
text:k_konjaku:k_konjaku22-4 [2014/09/14 01:23] Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku22-4 [2017/10/09 20:38] (現在) – [巻22第4話 内麿大臣乗悪馬語 第四] Satoshi Nakagawa
行 2: 行 2:
 ====== 巻22第4話 内麿大臣乗悪馬語 第四 ====== ====== 巻22第4話 内麿大臣乗悪馬語 第四 ======
  
-今昔、内麿の右大臣と申ける人は、房前の大臣の御孫、大納言真楯と申ける人の御子也。+今昔、内麿((藤原内麻呂))の右大臣と申ける人は、房前((藤原房前))の大臣の御孫、大納言真楯((藤原真楯))と申ける人の御子也。
  
-身の才止事無くて、殿上人の程より公に仕り給て、其の思え微妙くなむ御ける。世の人、皆重く敬て随ぬ者無かりけり。形ち有様、愚なる事無かりけり。亦心直くて人に用ゐられてなむ御ける。+身の才止事無くて、殿上人の程より公に仕り給て、其の思え微妙くなむ御ける。世の人、皆重く敬て随ぬ者無かりけり。形ち有様、愚なる事無かりけり。亦心直くて人に用ゐられてなむ御ける。
  
-而るに此の大臣、年未だ若く御ける時に、他戸(おさべ)の宮と申す太子御けり。白壁の天皇の御子也。其の人心猛くして、人に恐られ(おぢられ)てなむ御ける。+而るに此の大臣、年未だ若く御ける時に、他戸(おさべ)の宮((他戸親王))と申す太子御けり。白壁の天皇((光仁天皇))の御子也。其の人心猛くして、人に恐られ(おぢられ)てなむ御ける。
  
-其の時に一の悪馬有けり。人の乗らむと為る時に、必ず踏咋(ふみくふ)。然れば敢て人乗る事無かりけり。+其の時に一の悪馬有けり。人の乗らむと為る時に、必ず踏咋(ふみくふ)。然れば敢て人乗る事無かりけり。
  
-而る間、彼の他戸の御子、内麿に命じて、此の悪馬に乗らしむ。然れば内麿、此の馬に乗り給ふに、万の人此れを見て恐怖れて、「内麿、定めて此の馬に咋踏まれて損じ給ひなむとす」と糸惜く思ひ合へりけるに、内麿乗り給ふに、此の馬頭を垂て動(はたら)く事無し。然れば内麿、事無く乗り給ひぬ。其の後度々鞭を打給ふに、馬尚動かず。然りて庭を度々打廻て、下給ひにけり。+而る間、彼の他戸の御子、内麿に命じて、此の悪馬に乗らしむ。然れば内麿、此の馬に乗り給ふに、万の人此れを見て恐怖れて、「内麿、定めて此の馬に咋踏まれて損じ給ひなむとす」と糸惜く思ひ合へりけるに、内麿乗り給ふに、此の馬頭を垂て動(はたら)く事無し。然れば内麿、事無く乗り給ひぬ。其の後度々鞭を打給ふに、馬尚動かず。然りて庭を度々打廻て、下給ひにけり。
  
-見聞く人、内麿を讃て「此れ只人にも御ざりける」とぞ思ひける。昔は此る人なむ御けるとなむ語り伝へたるとや。+見聞く人、内麿を讃て「此れ只人にも御ざりける」とぞ思ひける。昔は此る人なむ御けるとなむ語り伝へたるとや。
  
text/k_konjaku/k_konjaku22-4.1410625426.txt.gz · 最終更新: 2014/09/14 01:23 by Satoshi Nakagawa