ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:k_konjaku:k_konjaku1-3

差分

この文書の現在のバージョンと選択したバージョンの差分を表示します。

この比較画面にリンクする

text:k_konjaku:k_konjaku1-3 [2016/03/28 23:56]
Satoshi Nakagawa 作成
text:k_konjaku:k_konjaku1-3 [2016/03/28 23:58] (現在)
Satoshi Nakagawa [巻1第3話 悉達太子在城受楽語 第三]
ライン 18: ライン 18:
 又、暫の程を経て、太子、王に前の如く出て、遊ばむ事を申し給ふ。王、此の事を聞給て、歎き思(おぼ)す様、「太子、先に出て、道に老人を見て、憂の心有て、楽ぶ心無し。今何ぞ又出む」と思して、許給はず。然りと雖も、諸の大臣を集めて議し給ふ。「太子、先に城の東の門を出て、老人を見て楽しばず。今、既に又出むとす。此の度は、道を揮((底本頭注「揮一本拂ニ作ル」))(はらつ)て、前の老人の如くならむ輩を有るべからず」と仰せて、許し給ひつ。太子、先の如く百官を引将て、城の南の門より出給ふ。 又、暫の程を経て、太子、王に前の如く出て、遊ばむ事を申し給ふ。王、此の事を聞給て、歎き思(おぼ)す様、「太子、先に出て、道に老人を見て、憂の心有て、楽ぶ心無し。今何ぞ又出む」と思して、許給はず。然りと雖も、諸の大臣を集めて議し給ふ。「太子、先に城の東の門を出て、老人を見て楽しばず。今、既に又出むとす。此の度は、道を揮((底本頭注「揮一本拂ニ作ル」))(はらつ)て、前の老人の如くならむ輩を有るべからず」と仰せて、許し給ひつ。太子、先の如く百官を引将て、城の南の門より出給ふ。
  
-浄居天、変化して、病人とぬ。身羸れ、腹大きにふくれて、喘ぎ吟(によ)ふ。太子、此れを見給て、問て宣はく、「此れは何人ぞ」と。答へて云く、「此れは病ひする人也」と。太子、又問給はく、「何(いか)なるを『病人』とは為ぞ」と。答て云く、「『病人』と云は、耄(おい)に依て飲食すれども𡀍((口へんに愈)) (いゆ)る事無く、四大調はずして、弥よ変じて、百節皆苦しび痛む。気力虚微して、眠り臥て安からず。手足有れども、自ら運ぶ事能はずして、他人の力を仮て臥し起く。此れを『病人』と為也」と。太子、慈悲の心を以て、彼の病人の為に、自ら悲を成して、又問給ふ。「此の人のみ此く病をば為か。又、余の人も皆而るか」と。答て云く、「一切の人、貴賤を択ばず皆此の病有り」と。太子、車を廻して、宮に返て、自ら此の事を悲て、弥よ楽ぶ事無し。+浄居天、変化して、病人とぬ。身羸れ、腹大きにふくれて、喘ぎ吟(によ)ふ。太子、此れを見給て、問て宣はく、「此れは何人ぞ」と。答へて云く、「此れは病ひする人也」と。太子、又問給はく、「何(いか)なるを『病人』とは為ぞ」と。答て云く、「『病人』と云は、耄(おい)に依て飲食すれども𡀍((口へんに愈)) (いゆ)る事無く、四大調はずして、弥よ変じて、百節皆苦しび痛む。気力虚微して、眠り臥て安からず。手足有れども、自ら運ぶ事能はずして、他人の力を仮て臥し起く。此れを『病人』と為也」と。太子、慈悲の心を以て、彼の病人の為に、自ら悲を成して、又問給ふ。「此の人のみ此く病をば為か。又、余の人も皆而るか」と。答て云く、「一切の人、貴賤を択ばず皆此の病有り」と。太子、車を廻して、宮に返て、自ら此の事を悲て、弥よ楽ぶ事無し。
  
 王、御共の人に問て宣はく、「太子、此の度、出て楽ぶ事有つや否や」と。答て云く、「南の門を出給ふに、道に病人を見て、此れを問聞給て、弥よ楽給はず」と。王、此の事を聞給て、大に歎き給ふ。今よりは城を出給ふ事を恐れ給て、弥よ噯め給ふ。 王、御共の人に問て宣はく、「太子、此の度、出て楽ぶ事有つや否や」と。答て云く、「南の門を出給ふに、道に病人を見て、此れを問聞給て、弥よ楽給はず」と。王、此の事を聞給て、大に歎き給ふ。今よりは城を出給ふ事を恐れ給て、弥よ噯め給ふ。


text/k_konjaku/k_konjaku1-3.txt · 最終更新: 2016/03/28 23:58 by Satoshi Nakagawa