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text:k_konjaku:k_konjaku1-1 [2016/03/26 01:30] – 作成 Satoshi Nakagawatext:k_konjaku:k_konjaku1-1 [2016/04/19 17:36] (現在) – [巻1第1話 釈迦如来人界宿給語 第一] Satoshi Nakagawa
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 癸丑の歳の七月八日((底本頭注「七月一本四月ニ作ル」))、摩耶夫人の胎に宿り給ふ。夫人、夜寝給たる夢に、菩薩、六牙の白象に乗て、虚空の中より来て、夫人の右の脇より、身の中に入給ぬ。顕はに透徹(すきとほり)て、瑠璃の壺の中に物を入たるが如也と。 癸丑の歳の七月八日((底本頭注「七月一本四月ニ作ル」))、摩耶夫人の胎に宿り給ふ。夫人、夜寝給たる夢に、菩薩、六牙の白象に乗て、虚空の中より来て、夫人の右の脇より、身の中に入給ぬ。顕はに透徹(すきとほり)て、瑠璃の壺の中に物を入たるが如也と。
  
-夫人、驚覚て、浄飯王の御許に行て、此の夢を語り給ふ。王、夢を聞給て、夫人に語て宣はく、「我も又此の如くの夢を見つ。自ら此の事を計ふ事能はじ」と宣て、忽に善相婆羅門と云人を請じて、妙に香しき花・種々の飲食を以て、婆羅門を供養して、夫人の夢想を問給ふに、婆羅門、大王に申して云く、「夫人の懐み給へる所太子、諸の善く妙なる相御(おはしま)す。委く説くべからず。今、当に王の為に略して説くべし。此の夫人の胎の中の御子は、必ず光を現ぜる釈迦の種族也。胎を出給はむ時、大に光明を放たむ。梵天・帝釈及び諸天、皆恭敬せむ。此の相は必ず是れ仏に成べき瑞相を現ぜる也。若し、出家に非ずば輪聖王として、四天下に七宝を満て、千の子を具足せむとす」と。+夫人、驚覚て、浄飯王の御許に行て、此の夢を語り給ふ。王、夢を聞給て、夫人に語て宣はく、「我も又此の如くの夢を見つ。自ら此の事を計ふ事能はじ」と宣て、忽に善相婆羅門と云人を請じて、妙に香しき花・種々の飲食を以て、婆羅門を供養して、夫人の夢想を問給ふに、婆羅門、大王に申して云く、「夫人の懐み給へる所太子、諸の善く妙なる相御(おはしま)す。委く説くべからず。今、当に王の為に略して説くべし。此の夫人の胎の中の御子は、必ず光を現ぜる釈迦の種族也。胎を出給はむ時、大に光明を放たむ。梵天・帝釈及び諸天、皆恭敬せむ。此の相は必ず是れ仏に成べき瑞相を現ぜる也。若し、出家に非ずば輪聖王として、四天下に七宝を満て、千の子を具足せむとす」と。
  
 其の時に、大王、此の婆羅門の詞を聞給て、喜び給ふ事限無くして、諸の金銀及び、象・馬・車乗等の宝を以て、此の婆羅門に与へ給ふ。又、夫人も諸の宝を施し給ふ。婆羅門、大王及び夫人の施し給ふ所の宝を受畢(うけはて)て、帰去(かへりい)にけりとなむ語り伝へたるとや。 其の時に、大王、此の婆羅門の詞を聞給て、喜び給ふ事限無くして、諸の金銀及び、象・馬・車乗等の宝を以て、此の婆羅門に与へ給ふ。又、夫人も諸の宝を施し給ふ。婆羅門、大王及び夫人の施し給ふ所の宝を受畢(うけはて)て、帰去(かへりい)にけりとなむ語り伝へたるとや。
  
text/k_konjaku/k_konjaku1-1.txt · 最終更新: 2016/04/19 17:36 by Satoshi Nakagawa