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text:jikkinsho:s_jikkinsho07-30 [2016/02/14 12:24] – 作成 Satoshi Nakagawatext:jikkinsho:s_jikkinsho07-30 [2016/02/14 12:26] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 七条の南、室町の東一町は、祭主三位輔親((大中臣輔親))が家なり。丹後の天橋立をまねびて、池の中島をはるかにさし出だして、小松を長く植ゑなどしたりけり。寝殿の南の廂(ひさし)をば、「月の光入れん」とてささざりけり。 七条の南、室町の東一町は、祭主三位輔親((大中臣輔親))が家なり。丹後の天橋立をまねびて、池の中島をはるかにさし出だして、小松を長く植ゑなどしたりけり。寝殿の南の廂(ひさし)をば、「月の光入れん」とてささざりけり。
  
-春のはじめ、軒近き梅枝に、鶯のさだまりて、巳の時ばかり来て鳴きけるを、ありがたく思ひて、それを愛するほかのことなかりけり。時の歌詠みどもに、「かかることこそ侍れ」と告げめぐらして、「明日の辰の時ばかりに渡て、聞かせ給へ」と、ふれまはして、伊勢武者の宿直(とのゐ)してありけるに、「かかることのあるぞ。人々渡りて聞かんずるに、あなかし、鶯打ちなんどしてやるな」と言ひければ、この男、「なじかは遣はし候はん」と言ふ。+春のはじめ、軒近き梅枝に、鶯のさだまりて、巳の時ばかり来て鳴きけるを、ありがたく思ひて、それを愛するほかのことなかりけり。時の歌詠みどもに、「かかることこそ侍れ」と告げめぐらして、「明日の辰の時ばかりに渡て、聞かせ給へ」と、ふれまはして、伊勢武者の宿直(とのゐ)してありけるに、「かかることのあるぞ。人々渡りて聞かんずるに、あなかし、鶯打ちなんどしてやるな」と言ひければ、この男、「なじかは遣はし候はん」と言ふ。
  
 輔親、「とく夜の明けよかし」と待ち明かして、いつしか起きて、寝殿南面をとりしつらひて、営み居たり。 輔親、「とく夜の明けよかし」と待ち明かして、いつしか起きて、寝殿南面をとりしつらひて、営み居たり。
text/jikkinsho/s_jikkinsho07-30.1455420265.txt.gz · 最終更新: 2016/02/14 12:24 by Satoshi Nakagawa