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text:jikkinsho:s_jikkinsho04-03

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text:jikkinsho:s_jikkinsho04-03 [2015/11/03 17:59] – [翻刻] Satoshi Nakagawatext:jikkinsho:s_jikkinsho04-03 [2020/10/28 23:19] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa
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 この佐実、花園殿に参りて、物語申しけるついでに、「御文のこと候はん時は、佐実を召され候ふべきものを。敦正にはよも劣り候はじ」とて、彼が浅きことどもを申しければ、心得ず覚えながら、あひしらひ給ふに、まこととや思ひけん、「かたじけなく候ふ」とて、「いみじき秀句をこそ思ひより侍れ」と聞こゆ。「いと興あることかな。いかに」と問ひ給ふに、 この佐実、花園殿に参りて、物語申しけるついでに、「御文のこと候はん時は、佐実を召され候ふべきものを。敦正にはよも劣り候はじ」とて、彼が浅きことどもを申しければ、心得ず覚えながら、あひしらひ給ふに、まこととや思ひけん、「かたじけなく候ふ」とて、「いみじき秀句をこそ思ひより侍れ」と聞こゆ。「いと興あることかな。いかに」と問ひ給ふに、
  
-  有花有花 敦正山之春霞紅+ 有花有花(花有り花有り) 
 + 
 + 敦正山之春霞紅(敦正山の春霞紅なり)
  
 と言ふ。主の殿、笑ひ給ひて、「いみじき秀句なり」と感じ給ひければ、しえたりと思ひてまかり出でぬ。かくいふは、敦正が鼻の赤かりければ((底本、「しえたり」から「赤かりければ」まで脱文。諸本により補入。))、をこづくなりけり。 と言ふ。主の殿、笑ひ給ひて、「いみじき秀句なり」と感じ給ひければ、しえたりと思ひてまかり出でぬ。かくいふは、敦正が鼻の赤かりければ((底本、「しえたり」から「赤かりければ」まで脱文。諸本により補入。))、をこづくなりけり。
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 殿さすがに((「殿さすがに」は底本空白。諸本により補入。))心づきなく思えて、敦正が参じたりけるにこそ、次第語らせ給ひければ、大きに怒りて、「われ、弓矢取る身にて候はば、仲正がやうに泣い目をも見すべし((底本「みせべし」))。憤り深く侍れども、ことに身に似ぬわざなり。この下句をこそ付け侍らめ」とて、 殿さすがに((「殿さすがに」は底本空白。諸本により補入。))心づきなく思えて、敦正が参じたりけるにこそ、次第語らせ給ひければ、大きに怒りて、「われ、弓矢取る身にて候はば、仲正がやうに泣い目をも見すべし((底本「みせべし」))。憤り深く侍れども、ことに身に似ぬわざなり。この下句をこそ付け侍らめ」とて、
  
-  無鳥無鳥 佐実園之冬雪白+ 無鳥無鳥(鳥無し鳥無し) 
 + 
 + 佐実園之冬雪白(佐実園の冬雪白し)
  
 とぞ付けたりける。主、みじく感じ給ひけり。 とぞ付けたりける。主、みじく感じ給ひけり。
text/jikkinsho/s_jikkinsho04-03.1446541192.txt.gz · 最終更新: 2015/11/03 17:59 by Satoshi Nakagawa