text:ima:s_ima010
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text:ima:s_ima010 [2014/12/17 00:46] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:ima:s_ima010 [2015/09/04 23:56] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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今物語 | 今物語 | ||
- | ====== 第10話 大納言なりける人小侍従と聞こえし歌詠みにかよはれけり・・・ ====== | + | ====== 第10話 大納言なりける人小侍従と聞こえし歌詠みに通はれけり・・・ ====== |
===== 校訂本文 ===== | ===== 校訂本文 ===== | ||
- | 大納言なりける人、小侍従と聞こえし歌詠みにかよはれけり。ある夜、物言ひて、暁帰られけるに、女の家の門を遣り出だされけるが、きと見返りたりければ、この女、名残を思ふかと思しくて、車寄せの簾(すだれ)に透きて、一人残りたりけるが、心にかかり思えてければ、供なりける蔵人に、「いまだ入りやらで、見送りたるが、ふり捨てがたきに、何とまれ、言ひて来(こ)」とのたまひければ、「ゆゆしき大事かな」と思へども、ほど経(ふ)べきことならねば、やがて走り入りぬ。 | + | 大納言なりける人、小侍従と聞こえし歌詠みに通はれけり。 |
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+ | ある夜、物言ひて、暁帰られけるに、女の家の門を遣り出だされけるが、きと見返りたりければ、この女、名残を思ふかと思しくて、車寄せの簾(すだれ)に透きて、一人残りたりけるが、心にかかり思えてければ、供なりける蔵人に、「いまだ入りやらで、見送りたるが、ふり捨てがたきに、何とまれ、言ひて来(こ)」とのたまひければ、「ゆゆしき大事かな」と思へども、ほど経(ふ)べきことならねば、やがて走り入りぬ。 | ||
車寄せの縁の際(きは)にかしこまりて、「申せと」とは左右(さう)なく言ひ出でたれど、何と言ふべき言の葉も思えぬに、折しも、ゆふつけ鳥、声々に鳴き出でたりけるに、「あかぬ別の」と言ひける事の、きと思ひ出でられければ、 | 車寄せの縁の際(きは)にかしこまりて、「申せと」とは左右(さう)なく言ひ出でたれど、何と言ふべき言の葉も思えぬに、折しも、ゆふつけ鳥、声々に鳴き出でたりけるに、「あかぬ別の」と言ひける事の、きと思ひ出でられければ、 |
text/ima/s_ima010.1418744795.txt.gz · 最終更新: 2014/12/17 00:46 by Satoshi Nakagawa