text:hosshinju:h_hosshinju4-01
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text:hosshinju:h_hosshinju4-01 [2017/05/13 13:09] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:hosshinju:h_hosshinju4-01 [2017/05/13 13:10] – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 中ごろ、義叡((義睿とも))といひて、ここかしこ、行ひ歩(あり)く修行者ありけり。熊野より大峰に入りて、三嶽へ出づる間に、道を踏みたがへて、十日余りがほど、すずろに嶮(けは)しき谷・峰を迷ひ歩きける。身疲れ、力尽きて、いととあやふく思えければ、心をいたして、本尊に祈り乞ふ。 | + | 中ごろ、義叡((義睿とも))といひて、ここかしこ、行ひ歩(あり)く修行者ありけり。熊野より大峰に入りて、御嶽へ出づる間に、道を踏みたがへて、十日余りがほど、すずろに嶮(けは)しき谷・峰を迷ひ歩きける。身疲れ、力尽きて、いととあやふく思えければ、心をいたして、本尊に祈り乞ふ。 |
その後、からうじて平らかなる所に行き出でたりけり。そこに一つの松原あり。林の中に一つの庵あり。近く歩みよりて、これを見るに、えもいはぬ、新しく作れる屋(いへ)あり。物の具飾り、みな玉のごとし。庭の砂子(すなご)、雪に異ならず。植木には花咲き、木の実結び、前栽(せんざい)には、さまざまの咲く花、色ことに妙(たへ)なり。義叡、これを見て、喜ぶことかぎりなし。 | その後、からうじて平らかなる所に行き出でたりけり。そこに一つの松原あり。林の中に一つの庵あり。近く歩みよりて、これを見るに、えもいはぬ、新しく作れる屋(いへ)あり。物の具飾り、みな玉のごとし。庭の砂子(すなご)、雪に異ならず。植木には花咲き、木の実結び、前栽(せんざい)には、さまざまの咲く花、色ことに妙(たへ)なり。義叡、これを見て、喜ぶことかぎりなし。 |
text/hosshinju/h_hosshinju4-01.txt · 最終更新: 2017/05/13 13:10 by Satoshi Nakagawa